新人は放置されて当たり前な環境である施工管理の業界。
なぜ放置されてしまうのかと悩む新人も多く、最悪の場合は退職ということも。
結論:必ずしも放置したくてしているわけではない
新人時代に放置され、ベテランになって放置した両方の経験のある、歴10年の筆者が、両者の視点で理由について解説します。
放置に悩む新人、放置したことに悩むベテランともに参考になる記事となってます。
管理人:いちはらくん
- 新人時代は丸1年放置された経験
- ベテランになり新人をあえて放置したことも
- 施工管理として10年勤務
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施工管理の新人が放置されがちな理由
なぜ施工管理の新人は放置されやすいのか?
私が思う理由を3つ解説します。
正直期待されていない
施工管理の業界では、新人はまず期待されていないです。
業界自体が非常に経験主義であり、新人よりもベテランのスキルが高く評価されるためです。
新人が入社すると、最初は単純な作業しか任されず、その後も十分な教育やフォローがされない場合が多い。
新人の育成が後回しにされる結果、放置が起きているのが現実です。
実際に私も最初の一年目は放置でした。とにかく辛かった記憶が今でも鮮明に蘇ってきます。
人手不足とタイトなスケジュールの影響
人手不足とタイトなスケジュールも、新人が放置される大きな要因です。
一人ひとりの作業が多く、教育する時間が取れない現場が多いからです。
新人を教育するより、自分でやるか、経験者に仕事を任せた方が効率がいいと判断されがちです。
結果として新人は放置され、成長の機会を逃してしまいます。
10年働いた身としては、この気持ちは痛いほど分かります。任せられる範囲がどうしても限られてしまうのは、新人が理解すべきポイントです。
謎の「現場の厳しさを知れ」スタイルな先輩
施工管理の業界は自分の親世代のベテランも多数在籍し、いまだに、現場で揉まれて育つんだよ!というマインドで育成する人も居ます。
確かに野放しにされ、職人に揉まれる方が成長速度は速いですが、中にはそれが耐えられない人も居るのも事実。
実際、私も新人の時は放置を経験しており、何とか食らいついて職人と仲良くなり、休憩も職人の事務所でするほどに仲良くなって、世界が変わりました。
しかし、放置と言われても仕方ない古臭いスタイルです。
今はこれが通用しづらいのも事実で、厳しい職人に当たった新人にはかなり厳しい教育方法です。
施工管理の新人をベテランが放置する理由
実際に私も経験を重ね新人の教育担当をした際に、放置してしまった経験も踏まえ、ベテランが放置する理由についても解説します。
新人とはいえ力量がどの程度か見ている
新人とはいえ、これから一緒に仕事をしていくパートナーである以上、現時点での人間性のポテンシャルを見るために、あえて放置したりもします。
新人には申し訳ないですが、技術力やスキルよりも人間性がこの先も重要になってくることから、高卒、大卒関係なく、一個人としての力量を見たいという理由もあります。
新人だからできなくて当然なのですが、どこまで社会人としての意識があるかを見ておくことは重要なのです。
ずっと付いて教育できるほど余裕がない
施工管理は膨大な業務量を一人ひとりが抱えるため、教育担当の先輩たちも、忙しいのが実情です。
面倒見が良い先輩であれば、自分の業務を疎かにしてでも教えてくれるかもしれませんが、その分残業が増えることを考えると、付きっきりで教えるのは身を亡ぼすだけなんです。
新人は指示を待つのではなく、タイミングを見計らって積極的に指示を仰ぐ動きができると、ベテランの先輩たちも、「お?やる気あっていいね!」と思うわけです。
分からない事を分からないままにしないことが新人は重要です!
自分で考えて行動する力を身に着けてほしい
後々、自分で考えて行動していかないといけない事を考えると、新人のうちから考えて行動できる力が少しでもあるかを見ています。
新人なので右も左も分からないのは当然。しかし、ベテラン側としても、本人が何に悩んでいるかをわざわざ聞いてあげるほど余裕がないのも事実です。
これどうしたらいいですか?なにからすればいいですか?などの質問を自らが率先してできるかどうか、あえて放置して見ています。
放置された新人に何が起きるか?
忙しいからと言って、闇雲に新人を放置してしまうと悪い方向に転んでしまいます。
明確な理由もなく放置するのは、新人にとっては酷です。
技術不足が生む危険性とリスク
新人が技術不足のまま放置されると、その危険性とリスクは増大します。
施工管理は安全性が求められる業務であり、知識やスキルの不足は重大な問題を引き起こします。
例えば、安全確認が不十分な場合、作業員の安全が危ぶまれたり、工程が遅れる可能性があります。
技術不足はただの成長の問題ではなく、リスクと直結しているので、最低限の重要なポイントだけは事前に伝えておくことは、ベテランとして行うべきです。
現場では、新人も勝手な判断で行動するのは身の危険が伴う事をしっかりと理解しておくことが重要です!
モチベーションの低下と人材流出
新人が放置されると、モチベーションが低下し、優秀な人材が業界を去る可能性が高くなります。
成長やスキルアップの機会がないと感じ、他の業界や職種に移るケースが増えています。
最近では、新人が1~2年で辞めるケースが増えており、これは長期的には業界全体の品質低下につながることもあります。
ただでさえ人手不足な施工管理業界なので、新人の扱いには注意が必要です。
役に立たない存在に育ってしまう
あまりにも放置をして、勝手に考え行動し成長した新人は、時に役立たずと化してしまうことも。
教えていたつもりでも、気づいたときには時すでに遅しで、勝手な個人マインドが出来上がってしまうと、それを覆すのは、とても難航します。
適度に指示を仰ぎ、自分の右腕に育てる気持ちがベテランには必要です。
出来の悪い先輩が、たまにいると思いますが、その人がいい例かもしれません。
放置を防ぐための具体的なアクション
新人の放置を防ぐために取るべき具体的なアクションについて解説します。
コミュニケーションの頻度と質を高める
頻繁かつ質の高いコミュニケーションが必要です。
新人はわからないことが多く、確認や質問をしやすい環境が重要です。
週に一度は1対1のミーティングを設定し、フィードバックを行う。
コミュニケーションの頻度と質を高めることで、新人が自信を持って業務に取り組めます。
簡単な仕事はなるべく早い段階で叩き込む
簡単であったり、繰り返し行う必要のある仕事は早い段階で教えておくべきです。
新人もいきなりレベルの高い仕事を求めているわけではありません。
今教えられる暇がないから、これをやっといてくれる?と簡単とは言え、業務を与えて放置を回避することも一つの手です。
教育ノートを活用しスキル向上を管理する
定期的に教育ノートを書かせて、成長の過程を見ることも効果的です。
- 学んだこと
- その日の出来事
- 先輩への質問等
など、ノートに書くべきことだけを伝えて、後は新人に自由に書かせる。
これを週に一回提出させ、先輩からのコメントをし、成長と共にコミュニケーションを図るのも大切です。
放置される新人と放置されにくい新人の違い
理由があって放置しているベテランがいる中で、新人にも放置したくなるような人も居ます。
違いについて簡単に比較表にて解説します。
比較項目 | 放置される人 | 放置されにくい人 |
---|---|---|
性格態度 | パッシブ、指示待ち | アクティブ、自主性がある |
コミュニケーション | 問題を内に閉じ込めがち | 問題や疑問を積極的に共有する |
スキルセット | 基本的なスキルが不足 | 基本スキルを習得し、継続的に学び続ける |
業務への取り組み方 | 指示された仕事しかしない | 指示された仕事をこなしつつ、自ら新しい仕事を見つける |
問題解決能力 | 問題が起きたら他人のせいにする | 問題が起きたら解決方法を積極的に模索する |
人間関係 | 仲間や上司との距離が遠い | 仲間や上司と良好な関係を築いている |
責任感 | 席んんを回避し、必要以上に自己保身に走る | 責任を果たすために、自ら手を挙げる |
成長意欲 | 成長やキャリア形成に対して無関心 | 成長やキャリア形成に意欲的 |
などが、上げられます。
放置されがちな人は一度自分がこれらに当てはまっていないか確認してみるのも有効です。
施工管理歴10年の私が思う新人育成のコツ
実際に10年施工管理として働き、何人もの新人を育成してきた私が思うコツも紹介します。
賛否両論あるかもしれませんが、新人が私の役に立ってくれる人に成長してくれた方法です。
経験から学ぶ実践的なスキル
新人育成には、実践的なスキルが不可欠です。
書籍や研修だけでは得られない、現場特有の知識やスキルがあります。
実際の施工現場で新人に、失敗は自分が責任が取ることは伝え、小規模なプロジェクトを任せて、経験を積ませること。
実践を通じて得られるスキルは、新人が一人前になるために不可欠です。
無駄な研修や座学よりも実践を積むことが大切です。どれだけ学んでも生かせなければ意味がないですからね。
フィードバックと評価の重要性
フィードバックと評価は、新人育成において重要な要素です。
自分の強みや弱みを理解することで、新人は自己成長できます。
定期的に簡単でもいいので話し合いを行い、新人に具体的な改善点と強みをフィードバックする。
明確なフィードバックと評価制度は、新人のモチベーションとスキル向上につながります。
悪い部分は徐々に改善しつつ、いい所は徹底的に伸ばすと良いですよ。
業界で求められるスキルと将来像
新人には、業界で求められるスキルとキャリアの将来像を明示することが有効です。
将来的な目標が明確であれば、新人は意欲的に業務に取り組みます。
施工管理が求める専門スキルや資格、キャリアパスを新人に早い段階で説明する。
業界の要求と将来像を理解することで、新人はより戦略的なキャリア形成が可能になります。
まとめ:施工管理新人が放置される背景
施工管理の新人が放置される背景には、業界の厳しい環境やベテランの教育方針が影響しています。
しかし、この放置が新人の成長や業界全体に悪影響を及ぼすことは明らかです。
- 新人は自ら積極的に学び、質問する
- ベテランは新人に対し、必要なスキルと業界知識を教える
- 両者は定期的なフィードバックとコミュニケーションを取る
以上のポイントを押さえ、施工管理の現場でより良い人材育成を行うことが大切です。